撮影、美術、音楽、もちろん脚本と、これ見よがしなところのない、「過不足ない」ことの美点が十全に発揮された映画だったと思います。
普段の映画の指向に関わらず、多くの観客がこれは面白かった!となるポイントは、終わってみれば前教皇の蒔いた種(スキャンダルの弾劾、いたずらに栄達を求めず身を尽くす者こそをリクルート、かじ取りは欲のない実務者に)が見事に実ったのだな、と分かる、全てのピースが収まるべきところに収まる物語構造の美しさにあるのだと思いました。(他の方の感想にもありましたが、物語の最初に前教皇がチェスの名手であることに言及されているのも心憎い。)
観客の視点となる主人公グループが(それ自体は大変共感できる)崇高な理念を語っても、加えて主人公が「確信を持たず」と参加者を諭しても、次々と発生する事態により自らの言行を問い直されることになります。そのように二重三重に前提が覆される中、紆余曲折あった教皇選挙もついに決着するわけですが、折に触れさりげなく描写されてきた、とはいえ「見えない存在」たる女性たちに支えられてこそ、という点まであまさず回収するところ、見事にまとめたなと思いました。
☆☆☆1/2