映画原作で「ファーストコンタクトもの」の古典、という知識だけはあったのだけど、陰鬱で難解な思索系SFかと思いきや、西欧的で洗練された洒脱な作品だったから、読んでみないと分からないものですね。(タルコフスキーとソ連というキーワードに引っ張られ過ぎていたかもしれない。)むしろアメリカの小説で確固とした系譜としてある「過酷なフロンティアもの」にも通じる冒険小説でもありました。
ところで、『テネット』のセイターが危険な場所から未知の遺物をサルベージしてくるというイメージはこれへのオマージュだったんだな、とか、この小説のヌーナンの章は『カラマーゾフの兄弟』の大審問官を意識しているのでは?、とか、映画『スティーブ・ジョブズ』は、「主人公の人生の節目となる「ある日」を抽出する章立て構造」を参考にしたのでは?等の発見がありました。
結末は一読かなりバッサリという印象だったけど、よくよく考えるとこれしかないという気もしてきて、人間の祈りにも似た普遍的な願いを映し出しているように思われました。なんか面倒そうだな、と思って手に取ってなかった方にはとてもお薦めです。
☆☆☆1/2