ノスフェラトゥ(ヴェルナー・ヘルツォーク)

 前々から観たいと思っていたので、アマゾンプライムありがとうと思いました。派手に宣伝はしていないけど、こういう「ロバート・エガース版の公開を機にラインナップしようかな」みたいな時機に連動した配慮が時々あるので嬉しいですね。

 それはさておき、実際見てみると、雰囲気映画だったな、という印象でした。この辺りから2000年代初頭くらいまで、所謂ミニシアター系とされるような作品は割とこういう感じで。古くはヌーヴェル・ヴァーグやニュー・ジャーマン・シネマはゆったりとしたテンポと画力で「趣旨はわかるよな!」とねじ伏せるような映画が多いですよね。(正にヘルツォークはそこに名を連ねる代表格な訳ですが。『バッド・ルーテナント』のリメイクは普通の話法だったけれど。)

 率直な感想としては、ホラーとしてはかったるいところもあるけれど、イザベル・アジャーニの顔芸とローラン・トポールの奇人ぶり、ネズミの大群の不穏さという物理的な力で圧倒してくる映画だな、と思いました。意外とキンスキー演じるドラキュラはそれほどでもなかったかな(とはいえ、いきなりあんな人が廃城から出てきたら僕ならすぐさま帰るけど)。

 特に怖いことは起こっていないのに、必要以上に「ヒイッ!!!」というリアクションをアジャーニがするから逆にエッ?とビビってしまう逆転現象。貧乏くさい城のロケ撮影。ニューシネマらしいドサッと投げ出すようなネズミと街の画の生々しさ。そしてなんといってもトポールの痙攣的な演技。あんなのが雇い主なら耐えられないと思うのだけど…ところでトポールって、『ファンタスティック・プラネット』の原案とイラストのトポールだったんですね。ネットで調べたら数奇な運命を辿った人らしいのですが、それにしても幅が広いなあと感心しました。

☆☆☆