韓国が嫌いで(チャン・ガンミョン)

 (ネタバレします。)自国の息苦しさに堪えかねて、新天地としての外国(オーストラリア)を目指す話。元新聞記者の作者らしい、おそらく綿密なリサーチに基づいた苦い青春の物語でした。(これまでに読んだ中だと『鳥は飛ぶのが楽しいか』の中の一篇を長編化したような印象に近い。)2015年の作品なので若干前の作品にはなりますが、よく耳にする韓国の学歴社会の苛烈さについて、主人公に共感する日本の若者も多いのではないかなと感じました。

 とはいえ肩ひじ張った小説という訳でもなくて、主人公の恋愛遍歴が大きな要素になっている点で『ブリジット・ジョーンズの日記』的な側面もあり、似たような展開もあります。その一方で、(ここが実は個人的にチャン・ガンミョンらしさを感じるところなんだけど)主人公は「広く」読者に愛されるようなゆるふわドジっ子キャラという訳でもなくて、家族、友人に対して、「苦しい苦しいという前に自分で努力してできることがあるだろう?」とちょっと容赦ないくらい冷徹な批判の眼差しを向けます。

 ただし、頑張ることができて実際の能力もある、という自分の恵まれた才能があるからこそ、という前提も主人公は実はよく理解していて、だからこそ本当に自分を愛してくれるジミョンとの結婚が「世間的な幸せ」であってもあえてそれを選ばず、改めて旅経つことを決意するのだと思います。

 チャン・ガンミョンの幅広さをまた感じました。この勢いで『罰と罪』も読もうかな。

☆☆☆1/2