いろいろな示唆に富んだ文章がまとめられていましたね。特に僕が虚を突かれた思いで読んだのは、「カット頭とカット終わりをどうしているか」のくだり。
自主映画を撮ったことがあれば(特に8ミリフィルムで)分かっていただけるかもしれないが、カットってただ繋いだだけでは物語にならないんですよね。文字通り、それは「話にならない」レベルでのことだけど、フィルムも高いから辛抱して最低限の分量しか撮影しないで、現像から戻ってきたものをいざ繋ぐと、どういう場面なのか全然成立していない、ということが普通に起こる。その経験をしてからだと、TVで普通に放送されているなんということはないドラマの1シーンであっても、確かな撮影と編集の技術があってのことなのだとよく分かる。という何十年も前のことをハッと思い出したのですね。
映画って、つい演技とか物語といった観点から感想が述べられがちですが、濱口監督作品については、物語とかテーマ以前にも、観ているだけで惹きつけられる何かが(確かに)ここにはある!と感じる。その理由の一端が監督自身の口で説明されている気がしたのです。要は技術から立ち上がるなにか。考えてみると、映画とは膨大なカットの集積から成り立っている訳で、そのことに改めて立ち返る、思いを致すことになる文章群でした。
ところで濱口監督レベルの人でも「映画を観ていて寝てしまう」経験がある、ということに勇気づけられる人は多いのではないでしょうか?感想で言及している人がたくさんいて笑ってしまった。
☆☆☆1/2