フォールガイ(デヴィッド・リーチ)

 これまでの監督作について、『アトミック・ブロンド』や『ブレット・トレイン』など、予告や物語からは食指が動かなかったものの実際見てみると面白かった作品が多かったので、今回は逆に期待していたのだけど今一つ盛り上がらなかったかな、というのが正直な感想です。

 「スタントマンがとある犯罪計画に巻き込まれて、そのスキルを活かして窮地を脱する」という物語は、スタントマン出身でいまや一大アクション会社の社長でもある監督が作る、という時点で枠組みがもうメタの上にもメタなんだけど、それが悪い意味で枷になったという印象。

 もうちょっと詳しく言えば、どんな映画でももちろん安全策を確保した上でスタントシーンやカーチェイスをしている訳だけれど、観客が観ている時は「物語内では文字通り命がけで戦っている」という前提だからこそ手に汗を握って作品に没入している訳ですよね。それがこの作品では、「という設定でこんな工夫を凝らしてみました。それではご覧ください!」というプレゼンテーション付きで各シーンを見ているようで、その緊張感のなさ(真剣そのものだとは思うけれど)が画面の外まであふれ出してしまったのか、壮大なかくし芸大会を見せられているようで何だかしらけてしまったんですよね。本気のアクション映画とどこに違いがあったのか、ルックの問題なのか説明できないのですが、全編「映画ソフトのおまけで付いてくるアクションシーンのバックステージ集」みたいなぼんやりしたトーンに見えました。

 映画そのものは、ライアン・ゴズリングのとぼけたチャームに随分助けられていたと思います。本当は『F/X 引き裂かれたトリック』みたいに、映画の裏方の人がその特殊なスキルを活かして問題を解決する、というシンプルな話が見たかった気がします。

☆☆☆