白猫、黒犬(ケリー・リンク)

 ケリー・リンクは、日々の由無し事と奇想天外なファンタジーという取り扱う事象の振幅が広くて、同じ一つの物語にそれが両立する綱渡りの巧みさをこそ味わうべき作家だと思うのですが、今回は(童話というモチーフにも関わらず※)もっぱら観念的なSFや幻想小説の領域で勝負していて、従来の作風が好きな自分としてはあてが外れた感じになりました。「スキンダーのヴェール」は唯一過去作に通じる雰囲気があったかな。作家としては同じことを繰り返してもつまらないのでしょうけれども…

☆☆☆1/2

※作者でいえばもっと「雪の女王と旅して」みたいな作品なのかなと思ったんですよね。