ルックの部分で鈴木清順を参照しているのはよく指摘されるところですが(殺し屋ランキングのような世界観もだけど)、そもそも根本的にこのシリーズはプログラムピクチャーなんだ、と気付いて色々腑に落ちました。よく分からない理由で理不尽な境遇に陥る主人公、その中で何より尊重される「仁義」「侠気」。映画としての構えがどんどん大規模になってきたから忘れてたけど、本来90分くらいの話なんだと思えば納得できる。
長すぎるのだけど、2、3作目に感じたダルさはもはや突き抜けて、今回はやり切った感じが伝わってきました。例えば凱旋門前のラウンドアバウトの格闘は車を躱し、はねられ、敵味方入り乱れての複雑な殺陣になっていて感心したのと、一攫千金を狙う有象無象が襲い掛かって来る俯瞰視点でのワンカット風ガンアクションは、VFXで補完されているにしても段取りを考えただけで気が遠くなってくるスペクタクルになっていました。足掛け10年、今作はキアヌ・リーヴス撮影時58歳、すごくストイックな取り組みだったことが偲ばれます。もうアクション映画というジャンルを超えたなにかという気もしますね※1。
☆☆☆1/2
※1 もはやアート映画というか、いわば『プレイタイム』的試みに接近しているというか。最後をパリで締めくくったというのはそのオマージュでは?というのは穿ちすぎでしょうか。
※2 ところでジョンを仕留めて一攫千金でリタイアを狙う殺し屋「ミスター・ノーバディ」が登場しますが、セリフどおり『My Name is Nobody』=『ミスター・ノーボディ(邦題)』へのオマージュですよね。