びっくりするくらいストレートな貴種流離譚になっていて、エンターテインメントに全部振り切っていた感じ。陰鬱な話が続いていた最近のリドリー・スコットにしては珍しいのではないかと思いました。前作と直結していたというのも意外だったけれど、面白かったです。みんなこんな現状にうんざりしているのだ、という気持ちの表れのような気もしました。
とはいえ、最初分からなかったのだけど、ポール・メスカルって『アフターサン』のあの繊細なお父さんだったんですね。だからよくいえば粗野なところのない真っすぐな感じはよかったのだけど、英雄というには線が細い感じがして、映画を推し進めていく強力さにはやや欠ける印象でした。
ところで、主人公らしく最後の戦いの前に剣闘士の仲間に演説をぶつのだけど、正直彼らはローマに侵略された側だから「かつてのローマの栄光を取り戻す?知らんがな」という感じだったのではなかろうか。いいこと言ってやった!という演出だったけど(もちろん)、僕は何となく白けちゃったな。
☆☆☆1/2