スプートニク(エゴール・アブラメンコ)

 ロシア映画か…とは思ったものの、『ボーン・スプレマシー』で可憐だったオクサナ・アキンシナちゃんが出ているということで見てみました。いまこんな感じなんですね。(生活に倦み疲れた医師。もう「ちゃん」では全然ない。)作品の出来は悪くなかったです。

 思い切った方法で少年の命を救った女性医師に軍から謎のオファーが舞い込む。それは宇宙でエイリアンに取り付かれた宇宙飛行士から、「それ」を分離してほしいというものだった。困難が予想されるプロジェクトであったが、彼女は自身でも意外なほどにのめり込んでいく…

 全体としては、硬質なトーンの画面と相まってヴィンチェンゾ・ナタリが監督したソ連SF映画、といった案配でした。(実際の監督はもちろん違います。)ヴォーンという重低音のサントラはヨハン・ヨハンソン風。83年が舞台ということで、硬直した統治機構を皮肉めいた視線で描いている、要はディストピアものとしてのソ連映画の側面もあって、演出も落ち着いたトーンながら緊張感があってよかったと思います。

 ところで、観客が油断したところで思わぬツイストと伏線回収があるのだけど、とある映画批評サイトで「字幕に誤字がある」としていて、いったいこの映画のどこを見ていたのだ、と思いました。

☆☆☆1/2