カードの館(スタンリイ・エリン)

 作者は騎士道物語を現代にアダプテーションする試みだったと語っているようですが、実際のところ当時既に話題だった007をやってみたかったのかなと思いました。それと米国人らしいヨーロッパ文化、風物への憧れかな。

 端的に言って男性の願望充足エンターテインメントであって、時代的な限界(1967年発表)とはいえ女性に対する振る舞いが今の目で見るとちょっとなあという印象がありました。とはいえ、さすがに小説巧者で知られる作者であるため、ディテールは観光気分でいい湯加減だし、クリフハンガーの展開はスリリングで読ませます。これくらい古い作品ならではの楽しみは確かにあるなあという感想でした。

☆☆☆1/2