キオスク(ローベルト・ゼーターラー)

 ナチスの台頭に対して最後まで純朴で真っすぐな心を失わなかったオーストリアの青年の青春の物語。時代的なこと、テーマも含めてケストナーの『ファービアン』に似ているな、と思いました。この小説は2012年の現代に書かれた作品ですが、あえてケストナー的というか牧歌的なトーンで書いていますよね。(しかし物語自体は相当シビアな状況を描くことになる訳ですが。)

 ということで、2年前くらいなら上記のような感想で終わりだったと思うのだけど、現在の混迷を深める世界情勢を鑑みるならば、かなり複雑な気持ちにならざるを得ないというか。という感じです。

☆☆☆