ゴーストマン 時限紙幣(ロジャー・ホッブズ)

 強盗の現場で「化ける」ことを生業にした男が、過去の因縁でかつての雇い主に呼び戻される。「爆発する仕掛けが施された120万ドルを取り戻せ」それは対立する組織の間での綱渡り、死をかけたゲームの始まりだった…

 ちょっと期待しすぎたかな。いわゆるクライムアクション小説ですが、本当にありそうな符牒、ある世界だけで通用するルール、みたいなディテールは面白くて読ませるのだけど、肝心の「ゴール設定」が杜撰で、それぞれの組織の主が何を目的にしているのか?本当に作戦として妥当なのか、がすっきりしないため(あまりにも迂遠な割りにリスクが高すぎる)、種明かしされても、え、そんなことにこれだけのボリュームを割いてたの?と騙された気になりました。この作品の場合は勢いでつい読まされてしまう、というレベルに達していないので、なんだか主人公が右往左往して、片っ端から携帯電話を景気よく捨てる印象ばかりが強く残りました。ちょっとそういうところはラドラムの小説を思い出させたな…

☆☆☆1/2