2回目だったのですが、なぜか今回の方がグッときました。最後の20分くらいはずっと涙していた気がします。
弱点は、前回観た時と同様、やはり登場人物(特に主人公宮城とその母)の葛藤に映画を支えるほどの厚みがないと感じられること。直接の描写は点描といった案配で観客に余白を委ねる演出でしたが、想像するほどの奥行きがない。(もちろん夫と長男を早くに亡くしたことの喪失感、母から頼られるに足る息子になれない焦燥、みたいなものは理解できるけれど、設定的でカキワリ的なんですよね。)
ただ、それを補ってあまりある試合の演出の冴え。まるで一緒に試合をしているかのような臨場感。(と音響の演出。)加えて、オープニングで鉛筆のスケッチからキャラクターが動き出し、ついにコート上で相見える、という流れ。規範と逸脱がせめぎ合う現代の闘技場、そうだ、スポーツってそういうものだった、ということを思い出させてくれて胸がドキドキしてくる見事なアヴァンタイトルだったと思います。
とはいえ一番最高なのは最後のシュートまでの組み立て(と音響の演出)なんですけど。ここまで実際のプレーに肉薄した映画があっただろうか、いやない。
☆☆☆☆1/2