公開時の高評価を目にして見てみたいと思っていたのだけど、ちょっと期待しすぎましたかね。ショーン・レヴィらしい「ちょうどいい案配」の娯楽作でした。
『マトリックス レザレクションズ』の枠組みで語る『トゥルーマン・ショー』といった趣で、主人公の造形は『ビッグ』を思い出しました。常識外のイノセンス(実は理由があるのだけど)に心打たれるヒロインという展開。ああいう感じを再現したいというマッシュアップなのかな。
やろうと思えばもっとハードなSFテーマである「人工知能が生じたとき、それはいかなる形で保護されるべきものなのか?」を追求できたと思うのだけど、やはりディズニー映画の限界なのかふんわりした着地でうやむやになっていました。
実は見ている時、テッド・チャンのSF短編『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』と同じ問題に辿り着くなと思っていたのです。問題というのは、一旦人工知能の生育環境であるサーバを保全できても、そのゲームやキャラに人気がある限りであって、システムが陳腐化していくとサーバを維持する経費がまかなえなくなるということ。しかし映画での描写を信じるならますますAIは時を経て成長するわけで、興味本位で自我を目覚めさせた倫理的決着をどうつけるのかという問題点については全然解決してないなと思ったんですよね。まあ最初からそんなややこしい話をするつもりはなかったか!
☆☆☆
※ 悪役のアントワンを見て、ブルース・キャンベル似のこいつは誰だと思っていたのですが、これがタイカ・ワイティティだったんですね。他でも見てるはずだけど印象が違いすぎて気づかなかった…