テネット(クリストファー・ノーラン)

 先日見た『ダンケルク』であれ?と気になって、『テネット』公開当時以来に再見したのだけど、例えば恋愛、嫉妬、友情などの感情に対して、世間一般で期待される反応はこうだよねというシミュレートをしているだけで、内側から湧き出るものとして描けていない、叙事があるだけで叙情がないという気がしました。ノーランの作品って、(筋が通っているかどうかはさておき)理屈だけで構築されている気がするということなんですが。共感性の欠如っていうのかな…そういう特異な映画にお客さんがたくさん入るというのもすごいけれど。

☆☆☆1/2

※ところでジョン・デヴィッド・ワシントンって『ブラック・クランズマン』の時も思ったけれど、何を考えているか分からない得体の知れない雰囲気がありますね。主人公なのに正義か悪か判然としないというか。