世界の終わりの七日間(ベン・H・ウィンタース)

 1作目から随分遠いところまで連れてこられたな、という感慨が。フーダニット、ワイダニットの趣向もあるにはあるけど、終末ものSFとしてやり切った感じがよかったですね。

 ところで、一人称ハードボイルドという形式のため、(読者がある程度同一化せざるを得ない)主人公のある種の異常性(=滅ぶ世界を前にして事件の解決に執着する)が前景化しないという「信頼できない語り手」としての要素があると思うのだけど、それが3部作の独自のトーンになっていたように思います。しかし一方で、作品テーマに寄せてそのような筆致になったというよりも作者の身に付いた世界観であるような気もして。別の作品も今後読んでみたい気がしました。

 それにしても、終末ものに名作は多いですが、(途中でどういう結末になるか、どのような場面で終わらせるつもりか予想できていたのにも関わらずやっぱり)最後のシーンには胸を打たれました。

☆☆☆1/2