閉園後の遊園地、メリーゴーランドの馬たちを寝かしつけるのに園長はお話をします。しかし馬たちはなかなか物語に満足せずに、登場人物のその後を知りたがります。求められるままに園長はお話を語り続けるのですが…
「つまるところ物語とは登場人物のエピソードのつらなりなのだ」ということが構造化された小説でした。しかもそれぞれの物語は互いに影響しあい、複雑に入り組みかつ精緻に組み立てられています。
しかしそんなことは大人が感心すればいいのであって、子どもたちがただ楽しんで、けれども誠実に生きるとはどういうことかちょっと考えながら、読んでくれたらいいなと思いました。ともあれ、あたたたかい気持ちになるおはなしでした。
☆☆☆1/2