魔女と暮らせば(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)

 著者の作品はいくつか読んでいるのですが、登場人物が皆弱点を抱えていて(たとえ強大な大魔法使いであっても)、そこが切ない。逆に、悪い人間もただ邪悪なだけじゃないと感じられるというか。人間の卑小な側面にふとした瞬間に子どもながらに気づく描写など、素晴しく冴えている分心に刺さる。(そして自分が幼かった頃も、そういえば大人のそういった言動に意外と敏感だったことを思い出したり。)

 結果、苦い後味になっていて、子ども向けかもしれないけれど大人の鑑賞に堪える小説だと思います。あるいは児童文学だからといってそういう側面を遠慮しない作者の姿勢が、本作を名作足らしめているのかもしれないですね。

☆☆☆1/2