町田くんの世界(石井裕也)

 特異な人物の奇矯な振る舞いによって「我々の思う普通って何だろう?」ということが問い直される、というタイプの映画があると思うのですが、それが若者の恋愛ドラマをドライブしていく点で『バタアシ金魚』を思い出しました。

 ただ、「浅薄な人の振る舞い」があまりに記号的だったり、ゴシップ雑誌記者の造形が平板だったり(大人なんだからもっと清濁合わせ飲む感じだろうし、ナイーブ過ぎだろう…)、という演出上の難点はありました。けれどもメインターゲットであろう若者たちへの善性の称揚、啓蒙が目的だとしたら、それもまたよし!

 最後にものすごく飛躍した展開があるけれど、文字通りプールに着地したところ(とあのカット)で、やっぱり『バタアシ金魚』を意識していたのかなと思いました。

☆☆☆1/2

※『ペイフォワード』や『フォレストガンプ』など連想する作品はいろいろありますよね。