1917 命をかけた伝令(サム・メンデス)

 本当は、絶対に映画館で観ないとしかるべき感想が出てこないタイプの作品だと思うのだけど、時期を逸して今アマゾンプライムで見ました。

 ワンカット風という作りからもっとリアル寄りの作品じゃないかと予想していたのですが、中盤の廃墟都市のあたりから顕著なように、彼岸と此岸の境界が溶け合っていくような幻想的な佇まいの物語でした。結果として、戦争小説なんかだと意図してそのような雰囲気の作品がよくあるけれど、それらの読後感のような印象を受けました。(限られたセットで世界の広がりを想像させないといけない点でおのずと抽象性が高くなる舞台作品のような雰囲気もあって、そういえば監督は舞台出身だったなと思い出しました。)

 印象といえば主人公のウィルを演じるジョージ・マッケイの顔立ちが現代風でなくて、まるで宗教画の人物のようだったのも上記の印象を強める要因だったかもしれません。

 ただ率直に言えば、ワンカット風撮影、凄いな(手間かかったろうな)…以上の感想はなくて、『トゥモロー・ワールド』みたいな何かしら「映画見たな」と感じられる何かがほしかった気がしました。

☆☆☆1/2