ファースト・マン(デイミアン・チャゼル)

 スマートフォンとかテレビとか、美しく仕上げられているというだけで何となく故障は基本的にしないものと信じてしまっているけど、その逆で、あんな手作り感溢れる「装置」でよく月に行って戻ってこられると思ったよな、というのが率直な感想。

 なぜそのような印象になるかというと、ひとつには撮り方がごくドキュメンタリータッチだったからだと思う。35ミリのフィックスカメラでスタンダードに撮れば予算に見合った「大作」的な風格が出たと思うのだけど、今回はあえて主人公ニールの内面に寄り添う方を選んだということですよね。(でも手持ちカメラは見ていて酔うからやめてほしかった。)

 あえて主観視点で描く、というのはこれだけの規模の映画では英断だと思うし支持したいのだけど、一方で、(伝記ものだったらどうしても付いてまわる問題ですが)今回で言えばバズ・オルドリンがすごく感じが悪い人に描かれていて、実在かつ存命の人物なのに、思い切った描写ですよね。主人公以外を切って捨てるような演出方針が監督のスタイルなのかな(前作を踏まえても)と思うと、僕にはやっぱり合わないかな。

☆☆☆1/2