ジャンルは多岐にわたっていて、どの作品もすごく面白かった。けれども(ジョージ・R・R・マーティンにも同じことを感じるのだけど)、上手すぎてさらっとしてるんですよね。なんか昔の作家だとザラっとした感触があって固有の味わいになっている部分が何かしらあるのだけど。
好きだったのは『形見と宝』『ゴリアテ』『苦いコーヒー』『谷間の王者』、巧いなと思ったのは『翠色の習作』、ラファティだったのは『サンバード』。開かれた結末の作品がやっぱり好きだったな。
ところで、作者解題によると『ゴリアテ』は『マトリックス』のネットパブリシティの一環として書かれたとのことだけど、なるほどそんな感じねと思うと同時にハーラン・エリスン風味もあってそこがよかったです。
☆☆☆1/2
※僕が密かに知られざる傑作アンソロジーとして愛しているアル・サラントニオの『999』に『形見と宝』が収められてたらしいのだけど、覚えてなかったな…