今日は風邪をひいて寝込んでて持ってたDVDを久しぶりに見返していたのだけど、全編を通じて醸し出されるサスペンスフルな雰囲気といい、原作の(自身の)ひねくれたストーリーを見事にソリッドな映画脚本に仕立て直したゴールドマンの手腕といい、実によくできたスリラーです。
今回再確認したのは、有名な「安全かね?」に始まる逃亡シーンの真夜中から夜明けにかけて、ニューヨークの70年代の空気を見事に切り取った撮影の素晴らしさ※。それと裏切りを改めて噛みしめる主人公を泣き笑いのような表情で演じきったダスティン・ホフマンの芸達者ぶり。そういったディテールの豊饒さというのは、爆発とか大がかりなスタントで誤魔化しが効くようになった最近の映画ではおざなりにされがちな要素だから。なんといってもこの作品は(特典の製作ドキュメンタリーにもあるように)「アクション映画」として作られたものなんだから・・・当時はこれがアクション映画だったんだよな。
☆☆☆☆
※撮影はコンラッド・L・ホール