この夏ジブリ映画を観るならハガレンを、というのはブラフじゃなかったぜ!奇しくもオマージュ映画が2本も公開された訳ですが(もう一本は「スーパー8」)、オマージュ倒れに終わってないという意味ではこちらに軍配が上がるような。オマージュにちなんで、色々引き合いに出しながら感想メモ。
・ジブリ映画と書きましたが、『カリオストロの城』はもちろんのこと、『長靴をはいた猫』にまで遡れるような(東映動画的と言いたくなるような)動きに魅力がある作品だったと思います。とにかくアニメならではの快感に忠実なよく動くアニメートが爽快だったし、その勢いが映画をドライブするのにちゃんと奉仕しているのが良かった。(その点『スプリガン』はかなり隔靴掻痒だったことを思い出したり。)
・スケキヨ?と思ったら本当に・・・そんな明後日の方向までオマージュの手を広げるの?
・鋼兄弟は完全に狂言回し。熱烈な原作ファンには不評なのでしょうか?僕は原作漫画も好きだったけど、もっと逸脱してもよかったくらい(映画版ワンピースは、だから『オマツリ男爵』が一番好きです)。逆に言えば、これだけのクオリティで行けるなら、むしろオリジナル作品を観てみたかった気がしましたが、やはり大規模バジェットが動く作品はこれぐらいのビッグタイトルじゃないと企画が通らないのかな。
・ところで舞台となる都市の設定がとても重いのだけど(あからさまにガザ地区的な)、対する主人公の「正論」が片腹痛い(原作にもその傾向はあったけど)。異論もあるかもしれませんが、「正論」で物語全体の平仄を合わせようとするならば、テーマもそれなりに軽くしておくべきではないかと個人的には思っていて。例えばジャンプの『ナルト』は回を重ねるごとに敵役の背負い込んだ業が余りに重くなって、単純に友情・努力・勝利では解決できないところまできてますよね。この映画では最終的には当事者間で決着を付けるので、そこは作り手の誠実さだったのかなと受け止めました。
☆☆☆☆(エンドクレジットはもうちょっと情感のある演出でもよかったのでは。)