名前を剥奪されて娼館で働かされる、王子様の出てこない『千と千尋』みたいな話だったですね。
最初に見たビジュアルイメージが『ブラッド:ザ・ラスト・ヴァンパイア』の小夜みたいだなと思ったら、寺田克也がイメージデザイン担当だったと聞いてさもありなんと思ったことでした。声優ユニットのスフィアが吹き替え担当というのも、だからコンセプトが一貫してるとはいえる。
しかし初のオリジナル脚本作品がこれとは・・・とはいうものの、監督作品では一番好きかもしれません。(本国での評価が散々というのは、「バカ映画」の外面に対してのあの結末を飲み下せなかったからでは?)嫌がらせみたいに誇張されたメイクを始めとした禍々しいセンスは今回も健在。ただCGの出来はFFのイベントみたいに安かった(内容には合っていたと思うけど)。バジェットの規模はどのくらいだったのかしら?
いつも半ベソ顔のエミリー・ブラウニングは、スチールではそうでもなかったのだけど、実際動いてるのを観てたら何だか健気で個人的には一番グッときました。結末の「決めの画」たる「あの表情」は延々見切れさせたまま引っ張る、つまりハードルを上げるだけ上げるというなかなか難易度の高い要求を演者に突き付けていましたが、彼女は観客の期待にバッチリ応えていたのではなかろうか?(ところであまりにも流麗な太刀さばきだったのは、CGで顔を貼り付けてたのかな。)
☆☆☆☆(ちょっと甘めで。エンドクレジットに☆半分)
※途中退席の方が二人ほどいたけれど、あの予告編からどういう映画を予想してたんだろう?めっちゃ期待どおりやったやん。
※実は坂本康宏の『シン・マシン』だったという。