ご存知『スピード』の元ネタです。観るのは初めてだったけど、なるほどこれは傑作。犯罪サスペンスは追う側と追われる側、双方に感情移入できたほうが当然ドラマとして盛り上がる訳で、観客に対する感情のフックとなる設定もなかなか良く出来ていました。(警察が無能すぎるのは狙い?)
・犯人グループは高度経済成長の競争からはじき出された者達。倒産した零細企業の社長、学生運動くずれ、集団就職から脱落した青年。彼らが新幹線を狙ったのは国家的プロジェクト=体制の象徴だからでしょう。いわば500万ドルという身代金は二の次で、その点が『スピード』の犯人とは異なる点です。
・ミニチュアワークが頑張っていて、爆弾を解除するための装置を渡すため併走する新幹線の画は超燃える!「二つの新幹線に渡された板を叩き割る信号機」というシークエンスでのミニチュアとライブアクションのつなぎ方も気が利いていました。
・またこのシーンに関連していうと、バーナーで焼き切った穴から外側に付けられた爆弾を解除しようと試みるのですが、手を伸ばす際に切ったばかりの縁に触れて「アチッ」という演出が。こういう細部を疎かにしない映画は信用できるし、面白いですね。
・その一方で東映らしいというべきか、後に『北京原人Who are you?』を撮る監督のセンスの片鱗なのか、車内のパニック描写がエクストリームすぎて・・・いくら金に物を言わせる商社マンとはいえ、新幹線を止めるのに「札ビラで頬を叩く(例えでなく)」画は如何なものか?あと千葉真一演じる運転手の感情の起伏がむしろジェットコースター。
・「俺、この仕事が成功したらハーレーで世界一周の旅にでるんだ・・・」ヒロシ、それフラグや・・・
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