ロビン・フッド(リドリー・スコット)

 ロビン・フッド映画としてはケビン・コスナー版がアプローチとしては正解なんだろうけど(結構好きでした)、そもそも前日譚なのでおなじみのキャラがどのように登場してくるかという点を楽しむべき映画なんでしょうね。しかし長尺であるにも関わらず、観終った印象としては小品感がある、というか大河ドラマの年末総集編みたいな感じでした。以下感想メモ。
・ロビン・ロングストライドって馳夫さんみたいだねえ・・・
・メインの登場人物は「ワールド・オブ・ライズ」からですね。リトル・ジョンは「ウルヴァリン」のふとっちょ。大きい役がついてよかったね。(そういえば獅子心王もストライカーか。)
・マリアンは結婚して1週間で夫が十字軍へ・・・そして死別、というなんという都合の良い設定!と思ったのだけど、ケイト・ブランシェットツンデレぶりが実にチャーミングだったのでありとする。
・ゴドフリーが北部を蹂躙する様を「地図が中心から焼け落ちる」画で表現しているのを観て、なんてベタな、って口に出していいそうになったよ。老人力
・考えてみたらフランスに対して英国十字軍も似たようなことしてるのに、フランスの侵攻が悪辣な描写になっていることに監督のイギリス魂を見た。
・フランス王フィリップの親征の演出は「プライベート・ライアン」を完コピせんかの勢い(矢が海中に突き刺さる軌道なんか特に)。フランス軍がノルマンディー上陸って、プッ!というネタのためだとしたらあまりにも熱が入りすぎ。(「グラディエーター」も大概だったけど。)
・ロビンの出自がよもやフリーメイソンという大ネタにつながるとは・・・(マグナ・カルタの由来というホラを通す前フリとしての大ホラなんだけど。こういうケレン嫌いじゃないぜ。)
 全体としてあまりにご都合主義なんだけど、それでもきちんと面白かったです。思うにリドリー・スコットは「ブレードランナー」一作のせいでマニアックな監督というイメージを持たれているけど、本来は職人気質(雇われ仕事人という意味でなく)の人なんだと思います。そういう老練さと、ラッセル・クロウの魅せる力を再確認した作品でした。
☆☆☆1/2
※真面目なことも書いておくと、「理想が空回りしている人」と「地に足がついている人」の対比がドラマの軸だったのだと思います。