アバター(ジェームズ・キャメロン)

 キャメロンはやはり盛り上げどころを心得てますね。端的にいって、大メロドラマ(かなりナウシカ風味)なんだけど。
 「アバター」は主人公ジェイクの分身であると同時に、観客である我々が初めて体験する「CGで構築された3D世界」での仮想身体でもある、というように構造と物語が不可分なところがポイントなんだと思うのだけど、それだけにこの手が使えるのは一回きりではないだろうか、とも思った。正直、長時間立体視を要求されるのはしんどかったし。ただ3D映画としてのこなれ具合は監督が長年苦慮した甲斐あって、(冒頭にあった『アリス・イン・ワンダーランド』のトレーラーの旧態依然としたペラペラ3Dぶりに同情を禁じえないほど)かなりナチュラルだった。
 それとモーション・キャプチャーにおける眼の演技は本当に重要であることだなあと。その点を重視した監督の慧眼。世間では(予告編での)エイリアン造型の感情移入し難さが話題になっていたようだけど、それは「不気味の谷※」問題の逆説的な解決策だったのではないだろうか?少なくともストーリーが進行するにつれ、ジェイクではないけれどナヴィ族に親近感がわいてきた。(そういえば『マトリックス』シリーズで主人公がサングラスを掛けているのもCGキャラクターにおける「眼問題」対策だったという話を思い出したり。)
 でも繰り返しになるけれど別に映画は3Dじゃなくてもいいなあ・・・
☆☆☆☆
※人工物が一定以上人間に似てくると気持ち悪く感じる、という理論。