妻と娘の3人家族の暮らしは「ドラゴン」によって脅かされていた。男はひとり、平和だと噂に聞く未知の国に旅立つ。言葉も習慣もまるで違う異国で戸惑う男。最初は仕事を見つけることもままならなかったが、知り合いも増え、季節を重ねるうちに、家族を呼ぶ目処も付いて・・・
ユリイカの小野耕世の連載で知って購入したグラフィック・ノベル。セリフが一言もないのでサイレント映画のような味わいなのですが、とにかくディテールの豊かさに目を奪われます。(異文化の中で途方にくれる感じなどがよく出ていました。)また、その「国」ではスタンドのような自分の分身動物が常に傍らにいるという設定が面白い。人畜無害をキャラクター化したような主人公の分身動物が良いのです。作者は74年生まれというのに驚いたのだけど、一方で、登場人物たちの背景がややステレオタイプなのも世代的な限界なのかな。
☆☆☆☆