奥さまは名探偵(パスカル・トマ)

 同じ監督による『ゼロ時間の謎』がミステリの映画化として実に正攻法で、かつ登場人物がみなお洒落でプロダクションデザインも素敵、という雰囲気のある作品だったので、先に作られたこちらも観てみました。
 あ、書き忘れていたけれど、「アガサ・クリスティをフランス映画で?」という部分が話題になっていた作品です。(この作品の好評を受けて『ゼロ時間の謎』が作られたという脈絡。)ところが『ゼロ時間』の端正さに比べて随分印象が異なる、というか目指している方向性がぜんぜん違う映画だったんですね。ごく大雑把にいうとコメディサスペンスかな。うーん、前々から思っていたのだけど、何と言うかフレンチコメディにおいて「おもしろい」とされている事柄は、俗に言われる(個人的には今時そんなこと言う人もいないと思うけれど)「アメリカンコメディは文化が違うから日本では受けない」というギャップよりももっと繊細な部分で、しかしより根本的にツボが異なっているような気がします。そして破壊力のないギャグを持久戦のように散発するスタイル。あと、そんなに好きか!?って問いかけたくなるくらい「ライトな下ネタ」が好きなんだよなあ・・・
 それはさておきジュヌヴィエーヴ・ビジョルドの老けっぷりが・・・それがこの映画で一番ショッキングな事件でした。
☆☆☆