世界の涯まで犬たちと(アーサー・ブラッドフォード)

  解説にもありましたが、最近の欧米文学ではSFやホラーの要素を導入した「突拍子もない出来事が起こるのだけど、主人公たちは身の回り半径5mのことで頭が一杯」みたいな話がトレンドのようです(収録作「ドッグズ」はSFマガジンで紹介されてたらしい)。確かに僕の好きなケリー・リンク含め、そういうタイプの作品を近頃よく目にする気がします。
 さてこの短編集もその例にもれず、飼い犬と入れ替わったり、恋人の飼い犬とセックスしたり、とちょっとグロテスクな雰囲気もあったりする小説。そういった「普通じゃない要素」には実は作者なりの切実さが仮託されているものだと思うけれど、残念ながら今回は共感できませんでした。
☆☆1/2