『ヴィデオ・ドローム』や『戦慄の絆』みたいに観念的すぎて眠くなるほうの監督作品でしたね(キャッチーな方の代表作は『ザ・フライ』)。
「世間的には理解しがたい信念や欲望にのめり込んで破滅していく主人公」というのはクローネンバーグが好んで描くタイプの人物だけど、この作品の背景となる自動車事故フェチはそれだけで映画の原動力になるような面白さが個人的には感じられなかった。それと、事故が原因の肉体の傷跡も欲望を喚起するファクターとして設定されているのだけど、女性器を模った「それ」というのはむしろ真のフェティッシュに対する冒瀆ではないかと思ったのですが・・・
実のない男を演じるとジェームズ・スペイダーは天下一品。人死にが出た事故を起こしておいて全く倫理的な痛痒を感じないというのが実にクローネンバーグ的人物。ホリー・ハンターは最初ジェレミー・アイアンズが女装してるんだと思った。
☆☆