面白おかしく人がバンバン殺される映画かと想像してたら、意外にハードボイルドな話だったですね。
「父と子」という自身の体験がモチベーションだった『ビッグ・フィッシュ』あたりにはリアリティがあったけれど、そればっかりもやってられないということなのか原点回帰。しかし功なり名遂げ(加えてパートナーを得)た後では、「ぬくぬくと平穏な毎日を享受する人々へのルサンチマン」という監督の定番のテーマも様式的に過ぎる印象だった。
なんて書いたら「斬った」感じの感想文になるかなーと思ったのだけど(よくある切り口ですけどね)、実は昔からバートンの所謂ルサンチマン的な感情表現に共感できたためしがない。この作品で言えば、「幸薄い人々が自分なりの幸せを掴み取ろうと肩を寄せ合うけれど、結局マイナスのスパイラルに・・・」みたいな部分を丹念にドラマ化すればもっと面白くなったような気がするのですが、それはやっぱり監督の作風に自分が合わないということなんでしょうね。虚心で僕が面白かった作品は結局『ビートル・ジュース』だけってことになるのかな。
ミュージカル映画ということでいうと、曲ごとの変化が乏しく、もっとメリハリが欲しいところ。これというキラーチューンがないのも厳しい。
☆☆☆