ちょっとだけネタバレ風で。
ウェルメイドな作風できこえたブラッド・バードであるが、今回はおとしどころを見誤った印象だった。企画としては、ネズミとレストランという相性の悪いものをぶつけた時に生まれるサプライズを狙っていたと思しいが、アイディアどまり。やっぱりネズミのつくった料理は正直食べたくないし・・・。
それと人物造型の浅さが気になった。女が料理の世界で道を切り開くことの困難さを語るコレットも、元シェフの母を失った後で、同じ世界で生きていくことを決めたリングイニも、とりあえず言わせてみたという感じのセリフ以上に実感を伴って観客に背景が立ち上がってこないというか・・・。これまでのピクサーアニメは、魅力的なキャラクターによるアンサンブルも作品の大きな柱の一つだったけれど、なにかありそうで何もないまま退場してしまうレストランのスタッフに象徴的なように、その方面が上手く機能していなかったように思う。
「誰でもシェフになれる(入り口はすべてのものに開かれている)」が「誰もがシェフになれる訳ではない(センスが必要の意)」(だったかな?)というシビアな視点はテーマとしてアリなんだけど。
手際のいい調理場面はそれだけでアクションシーンとして成立するくらい見ごたえがあった。未来泥棒云々の本体ディズニーCGアニメ作品より断然面白いはずで、やっぱり期待値が高すぎたんでしょうね。
☆☆☆1/2