最後のウィネベーゴ(コニー・ウィリス)

 緩慢な終末を著者独特のリリカルな筆致で描いた表題作「最後のウィネベーゴ」は深い余韻を残す名作。さすがにヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞ほか5冠に輝いただけのことはあると納得。
 けれどもロマンティックコメディ好きの自分としては、ウィリス自ら「スクリューボール・コメディへのオマージュ」をうたっている『スパイス・ボグロム』が最高でした。ものすごくとっ散らかった状況が最後には収まるところに収まる、というのは作者の得意とするところだけど、話自体がそのまま映画化されてもおかしくないような(まあスクリューボールを念頭に書いてるのだから当たり前なんだけど)内容なので、誰がキャスティングとして適当だろうかと想像しながら読む楽しみがありました。
 それでヒロインのロマンスの相手、ハッチンズは如才ないのにいやみがないという造型なので、現代の役者だったらこれはもうオーウェン・ウィルソンではないかと。とくると、ヒロインは誰かなあ・・・ちょっと前ならキーラ・ナイトレイだったんだけど、メジャーになりすぎたので、ここはサラ・フォスターで。(まあ、『ビッグ・バウンス』の顔合わせが好きだったということなんですけど。)
 フラッシュバックとか時制のシャッフルの技術が映画的。ただテクが上手すぎるのが弱点といえば弱点なんでしょうかね。
☆☆☆☆