端的にいうと『ビッグ』の焼き直し。ただ反面教師としてこれほど都合のよい見本もない、というくらい無残な出来。アメリカではそこそこヒットしてたはずなのになぁ・・・
イノセントな主人公に触れたことで、周囲の人々が「大人の都合」という軛から開放されるというハリウッドの典型パターンがあります(例:『タイムトラベラー・きのうから来た恋人』等)。その要素を羅列してみると、
①大人のしがらみからヤサグれていたヒロインが、純真な主人公と恋に落ちる。
②「大人の都合」を無視することで、主人公がビジネスなどのブレイクスルーを達成する
③スクルージ的敵役が、主人公に敗れることで人生を見つめなおし、結果救われる
④デウス・エクス・マキナはスーパーナチュラルな現象
といったところでしょうか(考えてみたら、『ファイト・クラブ』もこのパターンの変奏だったわけですね)。ところがこの映画では、これらの要素が網羅されているにも関わらず、然るべき段取りを踏んでいないために無理やり感が否めない。
具体的には、エピソードが書き込み不足のため、ヒロインがなぜ主人公と恋に落ちたのか唐突な印象を受けることや、また「サンタの実在を信じる→クリスマス精神の回復」がテーマなのに、そのきっかけとなる出来事は「実在したサンタのプレゼントリスト」という非常に生々しいものだったりと、ストーリーと有機的に結合していないのに定番要素だけはなんとか消化しようとしているため、結果として非常にギクシャクとしたものになったのだと思われます。
そもそも主人公のバディを「愛すべき迷惑者」というオバQ的存在として造型しているのが、微妙に計算を誤っているような(パターンの主人公は常識に囚われていなくても、積極的に迷惑をかける存在ではない訳で)・・・いっそ「劇画オバQ」の路線でいったほうが映画的には正解だったかも。ウィル・フェレルは相変わらず好きだったけれど・・・
☆☆1/2