この監督の作品にしては凡作でしょうか。・・・エクストリームな描写がないと満足できなくなってるのかも。「過激化と大衆迎合の度合いを進めるマスコミとそれに積極的に乗っかろうとする警察という構図の風刺劇」という企画意図が上手くいってない印象。そういう話が説得力をもつほどには十分に脚本が練られていない。
ジョニー・トゥは「立場を超えた、男同士のプライドを賭けた対決」を描かせると天下一品で、今度『ディパーテッド』としてリメイクされた『インファナル・アフェア』もそれまでのトゥ作品の布石がないと成立しなかったのではないだろうか。けれども今回は警察側の女性指揮官(ケリー・チャン)の要素が大きかったため、焦点がぼやけてしまっていた。
加えて残念だったのは、知恵と度胸でどんな窮地も乗り切るリーダーとして設定されていると思しき犯罪者側主人公(リッチー・レン)が、役者は魅力的なのに肝心の計画が杜撰なために「ビッグマウス?」という印象に留まる。だから散り際の美しさにもカタルシスがなかった。
毎回傑作という訳にもいかないか・・・
☆☆☆