M:i:Ⅲ(ミッションインポッシブル3)(J・J・エイブラムス)

 フィリップ・シーモア・ホフマンってこんなに格好良かったのか!「ある意味」みたいなカッコ付きでなく、普通にハンサムな役者だと初めて思った。意外と出演場面少なめで残念だったけど。

 1作目は掟破りのどんでん返しで、「アクロイド殺し」的一発ネタだから続編があるとは思わなかった。すると2作目はジョン・ウー登板で、流行り始めてた「香港系アクション」を導入した完全なるクルーズ一人舞台映画になってた。そこで3作目ですが、原点回帰。「大作戦もの」にちゃんとなってました!!

 お約束のワイヤー一本吊での潜入も、ちゃんと赤外線距離計測してジャストサイズでの降下だったり、変装マスクも複製対象を複数の方向からカメラで写して現場で作ってたり、というディテールが嬉しい。それぞれのメンバーがプロの仕事を100%こなして初めて成功する、というのが本来の醍醐味だから、ヒーロー大活躍ではカタルシスが今ひとつだったんだよね。

 毎回世のトレンドに敏感なこのシリーズだけど、今回は『ボーン・アイデンティティ』シリーズを意識したのか、ドキュメンタリータッチのルックになっていた。一番大きな要素は役者の皮膚のテクスチャー表現が生々しいこと。前作ではツルツルピカピカだったイーサンも今作は疲れ気味。また、あるキャラの死に様にもそれは顕著で、娯楽作品ではありえない描写になっているのがちょっとショッキングだった。(でもダミーヘッドの出来のよさにはしゃいだのか、もう一度アップで出てくるのだけど、最初の1回の一瞬だけにしといた方が効果的だったと思ったよ)。

 アクションの立体的な構成にもスキがないし、ストーリーテリングにもソツがない。サマーシーズン大作に相応しい風格の映画でした。

※「変装マスク・メーカー」のデザイナーとしてシド・ミードがクレジットされてた。スピナーからガンダムまで何でもデザインするんだねぇ。

☆☆☆☆1/2