コンフィデンス(ジェームズ・フォーリー)

 世評はさほどでもない『NYPD15分署』がお気に入りの自分としては期待大だったのだけど、ジャスト水準作でしたなあ。

 『スティング』を代表として、コン・ゲームものというのはそれこそ何十本となく製作されてきたけれど、大概パターンは出尽くしたと思うのですね。だから「語り」=「騙り」のテクニックに余程自信があるか(監督の力量)、どんでん返しに新機軸(脚本家の力量)みたいな部分がしっかりしてないと厳しい。

 それでこのジャンルの最近の作品では、『オーシャンズ11』を例にとると「ラグジュアリーな雰囲気を味わってください」という本来添え物であったはずのプレゼンテーションの部分がメインになる、という食玩ライクな状況になっているわけですね。しかもこれは本末転倒ではなくて、観客もコン・ゲームの要素を「お菓子」の方だと分かってて観ている。

 それでこの作品なのですが、出演者はポール・ジアマッティレイチェル・ワイズダスティン・ホフマンアンディ・ガルシア、渋いところではルイス・ガズマンと結構豪華なメンツなのに、「こうしたい!」という方向付けの踏み込みが浅い。そういう中途半端なところがモロに物語のツメの甘さに出てしまった感じ。あんな展開じゃ普通カモは納得しないでしょう。なまじストーリーテリングがそこそこ快調だっただけに、残念な結末でした。むしろどんでん返しさえ上手く決まれば、それまでの経過なんか不問になるのに・・・
☆☆☆