画、音楽というパッケージについてはとても素晴らしいのに、残念ながら「映画のマジック」みたいなものが感じられなかった。映画って難しいですね。あるいは、作中では割とあっさり流される「栄光への階段を駆け上がる過程」(ベタだけど)こそを観てみたい、という欲求が僕のなかにあったせいかもしれない。
ケビン・スペイシーの歌とダンスは評判どおり。吹き替えなしなのにメチャクチャ上手い。でも一番印象深かったのは「時代に取り残された主人公ボビーが、海岸のトレーラー住まいで自分を見つめなおす」というシーン。要は全然ファンタジックな要素がない、「いつものケビン・スペイシー」の演技がやっぱり一番魅せるんだなあと。ちょっと逆説的で個人的にはそれが面白かった。
☆☆☆