ウィンブルドン(リチャード・ロンクレイン)

 ジャスト水準作。会社でプレゼンのアイディアを評して、悪くないけどありきたりなものを「ノーパンチ」と呼んでいるのだけど、まさにそんな感じ。

 「ワーキングタイトル」作品は脇の人物までもキャラが立っている。それは、全体からすればごくささやかではあるけれど、その人物のこれまでの人生が想像されるような、小説でいえば「行間を読ませる」描写があるからだった。そういった奥行きのある登場人物によるアンサンブルが、この制作会社の作品群の魅力の柱のひとつであったのは間違いないと思う。ところが今作では、そういった描写の細部のつめが甘いような気がしてならなかった。

 残念ついでに。キルスティン・ダンストがサーブをものすごく「手で打ってる」のが・・・ポール・ベタニーが6ヶ月でこれだけ素晴らしいフォームを身につけたことを考えるとなあ。

☆☆☆