悪魔は死んだ(R・A・ラファティ)

 ラファティといえば、そんなのありえないよ!というトール・テールの吹かしぶりと、しかし行間から垣間見える知性と繊細さがチャームポイントだと思うのだけど、この作品はちょっとテイストが違った。

 読みながら思い出したのはブコウスキーの諸作。とくに純然たるフィクションである「パルプ」の投げっぱなしな感じに良く似ている。小説というより散文詩風なところも。齢何百年という古木から鉈で切り出したシュールな彫刻といった風情。ものすごくいい加減なふりをして、時々世の中の真理を言い当ててるような鋭さにヤラレる。

 訳のせいかもしれないけど、短編に比べて読みにくいというか語りにクセがあります。でもストーリー自体はスリリングで、活劇ものとしても堪能できた。なんでも3部作※なのだそうで。手に入りにくいと思うけどそちらもぜひ読んでみたい。

☆☆☆☆☆

※げ、原書・・・無理や・・・