シン・シティ(ロバート・ロドリゲス)

 ようやく観ました。

 掃き溜めみたいな場所が舞台で、ごっついオヤジどもが主人公。しかも血は飛沫き、首や手がポンポン飛ぶような映画なんて・・・メチャメチャおもしろいやん!!

 立場も個性も違う3人の男たち。無法者、犯罪者、冤罪の刑事。目的のためには法を破る事も厭わない。けれども彼らはみな自らの誇りを守り通すため、そして何より愛する女のためにその信念に殉じていく。

 ジャンルでいえばハードボイルドなんだけど、その言葉から想像されるようなストイックさというのは余り感じられなくて、画作りも禁欲的というより享楽的。でもモノクロにパートカラーというスタイルはやっぱり格好よかった。

 そしてコミックのコマをそのまま絵コンテとして起こしたようなフレーミングとカット。2Dのアニメキャラクターをフィギュアにする際、立体として矛盾なく造形化するのは大変難しいそうだが、この作品も「原作コミックファンが観て全く違和感がない絵」として成り立たせるのは素人が想像するよりも相当な困難があったと思われる。(僕は原作未読なので偉そうなことは言えないけれど、再現性はすごく高かったのではなかろうか?少なくともそう思わされるような徹底ぶりではあった。)

 演じる役者が「濃い」メンツでこれまた最高。B・ウィリスの渋さ、M・ロークのふてぶてしさもよかったけど、ベニチオ・デル・トロの最低さが可笑しかった。あとフロドの「魔太郎がくる!」コスプレは本当に怖かったなあ。そうそう、ルトガー・ハウアーの「死を悟っての独白」があるだけで何だか名作に見えてくるのは正しくルトガー・マジック。

 ヒロイン方面はロザリオ・ドーソンのアネゴなビッチキャラがセクシーで萌え。それよりなによりジェシカ・アルバの「清純派ストリッパー」。在り方において矛盾したようなキャラを、説得力ある造形にしてたのはなかなかの芸達者ぶりである。という感じで、役者陣の魅力についてはいくらでも語れてしまうのが素敵。

 エンターテインメントの物語の閉じ方として理想的な構成だったのもポイントが高い。やっぱり結末が決まらないとね!

☆☆☆☆1/2