未来は今(コーエン兄弟)

 公開時にたいがい酷評されていたのでなんとなく敬遠してたのだが、今になって(ものすごく遅くなってしまったが)観た次第。

 コーエン作品らしい毒が薄く、嫌味かと思うほどのハリウッド・エンディングなのでマニアックな作品が好みのコーエン・ファンからは嫌われたのかなと想像された。しかし、「マスバーガーのズボンの仕立て」のくだりや、主人公とヒロインのやりとりを勝手に想像して、サイレント映画よろしくセリフをあててしまうタクシー運転手たちのシーンなんかには監督らしい捻りがあって。ジョエル・シルバープロデュースというところで、さすがの兄弟も骨抜きにされたんだという噂がまことしやかに囁かれたものだが、映画の統一イメージにもなっている「ハッドサッカー社の時計台」やニューヨークのセットはさすがに大予算ならでは、という印象を受ける。こういうのもありじゃないかなあ。素直に面白かった。

 ところで設定としてはミッドセンチュリーのはずなのに、不思議と恐慌直前くらいのイメージの意匠だったのはなぜだろう?なんとなくギリアム的でもあり。

☆☆☆