宇宙戦争(スティーブン・スピルバーグ)

やっぱり今やるからには、原作と違う結末で終わりたい、みたいなコメントを監督かクルーズがしてた気がするのだが、ものすごく原作どおりだったじゃないですか!しかもあえてアウター・リミッツとかトワイライト・ゾーン的な(というよりも50年代B級SFホラー風?)のナレーションまでついてて。まあ「猿の惑星」のリ・イマジネーションの大誤爆があったから変にいじるより正解だと思うけど。真面目な話をすると、あえてとってつけたようなニュアンスのナレーションにしたのは、絶望感や諦観のイメージを強調してたのだと思う。

それにしてもものすごいビジュアルショックである。まさにCGI技術が発達していないと撮れない映像がてんこ盛り。リローデッドでウォシャウスキー兄弟が自慢していたヴァーチャル・カメラが技術として確立したということか。そういう画的な部分で一番感心したのは、ハドソン河をフェリーで渡ろうとしてトライポッドに沈没させられる場面。空中・水上・水中とカメラを切り替えずにパニック状態を一気に見せきる。その一方で、地味だけど、盗んだバンで逃避行する主人公親子のやりとりをグルグル回り込んでワンカット処理してたのが、技術のにおいがして素敵だった。

何か爆弾やら宇宙人やら怪獣やらが飛来して、町から町へと逃げ回り、最終的には押入れに逃げ込む、みたいな悪夢で目が覚めて寝汗びっしょりということが僕は割と多い。夢だから当然一人称視点なんだけど、夢の不思議さで何故か客観カメラもあったりして。そういう変に生々しい感覚までそっくりな、まさしく悪夢的映画。地獄めぐりという意味では「太陽の帝国」の感触に近い。

☆☆☆☆☆