ラン・ダウン(ピーター・バーグ)

はっきり申し上げてあまり話題にもならず、気がついたらDVDが出ていたという印象であった。でも拾い物。「ブレーキ・ダウン」や「ニック・オブ・タイム」みたいなB級だけどA級の心意気で頑張っている作品。

スコーピオン・キング」での印象のせいか、シュワルツェネッガー系ののったりしたアクションのイメージがあったのだが、ザ・ロックは意外と俊敏で、小道具つかいも巧みなところをみせる。これはジャッキー映画のスタントを務めていたというアクション監督の貢献なのだろう。

もちろんロック自体にそれなりに風格があって、映画の1枚看板として恥ずかしくない堂々としたスターぶりなのだが、「バレット・モンク」と似たような立ち位置で主人公の相棒をつとめるショーン・ウィリアム・スコットの子分ぶりもよかった。子分肌のスターというのはジョー・ペシダニー・デビートの様にいかにもな人が多かったので、これから精進して新たな「子分道」を切り開いてほしい。
また意外とこういう(悪)役が多い「集落の元締め」であるC・ウォーケンも、いつもながらギャラ以上の仕事をしていて感心する。ロザリオ・ドーソンは個人的にはMIBⅡで気になりだしたのだけど、かわいいというか格好いい。ハル・ベリーを超えるポテンシャルを感じる。という具合に、脇を固める助演陣が好サポートしていた。

ジャンルとしては、ドジな相棒の尻を叩きつつ、「憎めない極悪人」のこれまたドジぶりに付け込んで、まんまと目標を達成するという正しく「インディ・ジョーンズ映画」なんだけど、「ボーン・スプレマシー」みたいなプロフェッショナル同士のしのぎを削る戦いを観たあとだといささかヌルく感じるのも事実なのであった。
☆☆☆