ドリーム・キャッチャー(ローレンス・カスダン)

公開時は酷評されがちだったようだけど、意外と面白かった。

キングによる原作小説は未読だけど、単体としてみたら娯楽作品としては十分水準を越えているというか、個人的には満足した。例えば、キングの映画化作品の定石に則って、「シャイニング」ばりに主人公達の超能力が活かされていない。けれど「シャイニング」が映画単体としては素晴らしかったように(ちょっと比較するのは申し訳ないくらい、いいすぎたかも?)。そもそも「侵略型エイリアン話はいくらでもあるけれど、巻き込まれる人々があれだけたくさんいるのなら、その中に超能力者が混じっていてもいいじゃない?」というネタを二乗する発想が素晴らしい。もちろん原作の着眼点が、ということなんだけど。

ところで、寄生型エイリアンをトイレ便座に閉じ込めているとき、ツマヨウジを床に落としたことがすごく気になってしまう、というシーンがある。絶対そんなことしてる場合じゃない、と観客だけでなく本人も思っているのに、どうしても手を伸ばして拾いたくなる→結果大変なことに。という人間の変な執着心描写は素敵にキングらしい。また特典のインタビューでも語っていたが、場所がトイレということがここでは肝なのだろう。寄生された人間のオナラが止まらないところなど、キングはなんかゲロ・ウンコみたいな話が幼稚園児なみに好きだよなあ。

映像作品としての強みを感じたのは、主人公達の超能力の根拠となっていると思しき「記憶倉庫」の造形。そういうロケーションを見つけてきたのかと思ったら、プロダクション・デザインのジョン・ハットマンが監督のイメージを再現したものだという。ああいう個人倉庫がほしい。

どう考えてもやっつけ仕事なのに、キャラクター造形云々についてインタビューで真面目に語るモーガン・フリーマンが笑えた。そして「プレデター2」の公開前のプロモで、やっぱり主人公の性格についてとくとくと語るダニー・グローバーのことを思い出した。

☆☆☆1/2(今回から点数をつけます。)