ココニイルコト(長澤雅彦)

真中瞳がいかにも「不倫してる女の子」っぽい(俺のイメージのなかで)という時点で個人的には既に成功していると思った。

それは半分冗談として、友人でもなく、恋人でもなく、というポジションの男女の関係がよく描けていた。(邦画監督のマトリクスを書くと同じフィールドに属するだろうと思われる)岩井俊二行定勲の同様の作品だとかなり作為的なものを感じるのだが、人物造形も物語としても自然だった。まあそれこそが作風というもので、いい悪いというより好みの問題なんだと思うけれど。

ネットの感想を拾うと、堺雅人の関西弁のあやしさについて言及しているものがやけに多い。一方「東京女」として最初距離を置かれる主人公を演じるのが関西出身の真中瞳なんだから、シャッフル具合がなんだか面白い。ただこの作品に関していえば、あまりに流暢な関西弁だと前野君のあのふわふわしたキャラクターの面白みはでなかっただろうと思う。

新しい世代の人情話としてよくできた作品でした。

☆☆☆1/2