ビートル・ジュース(ティム・バートン)

友人にゴスとは?と尋ねられ、サンプルとしてこの映画のヒロインとして登場するウィノナ・ライダーが典型と紹介したのだが、映画の内容を説明しているうちにまた見たくなって。

初めて見たのは中学生の時で、それ以来ちゃんと観たことはなかったにも関わらずバートンの最高傑作と断言してきたのだが、今回その思いを新たにした。ゴス、クリーチャー、躁的世界観、という監督のいい側面(僕にとっての)が出ているし、それらの要素が乖離せず作品全体の完成度に貢献している。バットマン以降の変に屈折した欝な要素があまりないのが好印象。

当時は売り方に苦労していたのか、バタリアン的なインチキ日本名(バタリアンでいうところのオバンバとかタールマンとか)のクリーチャーが盛りだくさんのホラーコメディとして宣伝されていたのだが(ご丁寧にも本編でもキャラメル・パパなどテロップが出る)、今の眼で見ると直球のバートン印のキャラクター総登場で、実写版ナイトメア・ビフォア・クリスマスとして楽しむことも出来るかと。(しかし日本語訳の監修に所ジョージがついていたのは余計だ、と当時から思っていた。)

ところで出演は今見ると何気に豪華で、と言いたいところがまた一巡して何か微妙な役者陣。主役の夫妻はアレック・ボールドウィンにジーナ・デイビス、ヒロインにノニー、うぅむ。さて迷惑な入居者役のジェフリー・ジョーンズは「ハワード・ザ・ダック」や「フェリスはある朝突然に」など、「自分の常識が通じない相手に翻弄される頑固オヤジ」を80年代〜90年代前半の映画では一手に引き受けていた印象があるが、この映画でも「困惑顔で身体は勝手にダンス」みたいな演技を見ることが出来る。名人芸、絶品。

今回の発見は、音楽がやっぱりオインゴ・ボインゴボインゴの方、ことダニー・エルフマンだったことと、タイトルロールであるビートルジュースが僕の偏愛する「マスク」の原型だった、ということ。あのハイテンション演技はジム・キャリーの芸の延長だと思っていたのだが、まんま同じキャラであった。演じる上で参考にしたのかな?興味がある人はぜひそこにも注目していただきたい。